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一本の線
ふと師匠が口にしていた言葉を 思い出すことがあります。 「線は点の連続なんだよ」 当時の私は、 書の技術についてのお話として聞いていました。 同じ言葉も最近は少し違った響きで 心に返ってきます。 一本の線を書いているつもりでも、 筆先が触れているのはいつも一点だけです。 前の点はすでに過ぎ去り、 次の点はまだ訪れていません。 あるのは、いま筆先が置かれている、 この一点だけです。 その一点が次の一点へ移り、 また次へ移っていく。 そうして振り返ると、 そこに一本の線が生まれています。 庭の木々を眺めていても、 同じようなことを思います。 昨日と今日で大きく違うわけではありません。 けれど、毎日見ているはずなのに、 ある日ふと気づくのです。 葉の色が深くなっていることに。 季節が歩みを進めていることに。 変化というものは、いつも気がつかないほど 小さなものなのかもしれません。 書もまた、その繰り返しです。 一本の線を引き、 また一画を書く。 その積み重ねが、一字となり、 一幅となります。 目の前の一点を重ねていく。 ただそれだけのことが、 やがて一
6月14日読了時間: 1分


閑かに坐る
書道というと、 「綺麗に書くこと」や 「上手く書くこと」を 思い浮かべる方が多いかもしれません。 もちろん技術を磨くことも大切ですが、 教室ではまず、 静かに坐ることを大切にしています。 筆を持つ前に姿勢を整える。 呼吸を整え ゆっくりと墨を磨る。 墨を磨る音や ほのかに漂う香りを感じながら、 少しずつ気持ちも静まっていく。 静かに書いた線には 不思議とその人らしさが現れます。 上手く書こうと力を入れ過ぎると 線はどこか硬くなる。 反対に 呼吸や姿勢が整ってくると、 線にも自然な流れが生まれてきます。 書は、 ただ文字を書くためのものではなく、 自分自身と静かに向き合う時間でもあるのだと 思います。 これからこの場所で 教室のことや 日々感じたこと 書についての考えなどを、 少しずつ綴っていけたらと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。
5月12日読了時間: 1分
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