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ほどける

  • 執筆者の写真: Seigen
    Seigen
  • 2 日前
  • 読了時間: 2分

人は知らず知らずのうちに、

「こうあるべき」という考えを

持ちながら生きています。


もっと頑張らなければ。


失敗してはいけない。


上手でなければいけない。


こういうものなのだ、と。


その考えは、

自分を支えてくれることもあります。


けれど、ときには自分自身を縛る結び目になってしまうこともあります。


ある日、誰かの何気ない一言に心を動かされたり、一冊の本や一つの作品に出会ったりして、

それまで当たり前だと思っていたことが、ふと違って見えることがあります。


無理に考えを変えようとした

わけではありません。


何かが、静かにほどけたのです。


書も少し似ています。


力を入れて書こうとすると、

線はかえって硬くなります。


思い通りに書こうとするほど、

筆は自由を失ってしまいます。


ところが、余計な力が抜けたとき、不思議なくらい自然な線が生まれることがあります。


人生もまた、

そうなのかもしれません。


何かを新しく足すことで変わるのではなく、握りしめていた手が少しゆるむことで、見える景色が変わることがあります。


禅には、「放てば手に満てり」

という言葉があります。


手放したから失うのではなく、手をひらいたからこそ受け取れるものがあります。


私はこの言葉を、「捨てること」ではなく、握りしめていたものが静かにほどけていくことだと受け止めています。


結び目を無理に解こうとしなくてもいい。


急いで変わろうとしなくてもいい。


心に少し余白が生まれたとき、握りしめていた手は自然とひらき、結び目は静かにほどけ、新しい風が通り抜けていくのかもしれません。

 
 
 

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